認定店・分室・のれん分け型の制度の契約書

看板を貸す制度は、誰に、何を、いくらで許すかを、規約や契約の最初に決めておきます。

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「認定」という名前でも、会費を取り、料金や教材を統制するなら、中身はフランチャイズに近づきます。

このページの要点

  • 認定の単位(個人・法人・店舗)を決め、法人が申し込んだときや所属する店舗の表示の扱いも書く。
  • 月会費・本部への納入金を何の対価とするか、返金・日割り・変更の通知・将来の新しい費目の手続を決める。
  • 独自の講座・独自の認定・派生の技術・類似の名称を禁じる範囲を、本部独自のものに絞って特定する。
  • 退会・失効・再入会の手続と、失効後の表示の削除の期限を決める。

結論:看板を貸す制度は「誰に」「何を」「いくらで」許すかを先に決める

技術や名称を持つ本部が、各地の事業者に「認定店」「分室」「のれん分け」として看板を掲げさせる制度は、フランチャイズよりも緩やかな結びつきとして作られることが多くあります。けれども、名称の使用を許し、技術を使わせ、毎月の会費や本部への納入金を受け取り、料金や教材を本部が統制するのであれば、中身はフランチャイズや代理店にかなり近づきます。「認定」という名前にしても、決めておくべきことは減りません。

事務所の資料では、看板を貸す制度の規約・契約で、次の点を最初に決めています。

  1. 誰に許すか:個人か、法人か、店舗か。法人が申し込んだときの扱い。
  2. 何を許すか:名称・ロゴ・認定の表記、技術・教材、本部の施設の使用。許さないもの(独自の講師養成・独自の認定・派生の技術)。
  3. いくらで許すか:初期の認定料、月会費、本部への納入金、将来の新しい費目。
  4. どう終わるか:更新の判断、退会、失効、再入会、終了後の表示と技術の使用。

このページでは、看板を貸す側(本部)の規約・契約に絞って紹介します。名称・ロゴの使用の細かな書き方は商標ライセンス契約書、本格的なフランチャイズはフランチャイズ契約書で扱います。認定の制度に、下の人が新しい人を勧誘して利益を得る仕組みを組み込む場合は、連鎖販売取引との境界を必ず確かめます。

看板を貸す制度の書類を組み立てるときに確かめたこと(指導メソッドの認定の案件から)

  1. 認定を受けた人とは、認定を与えて守ることを課すだけの関係にしますか。それとも、使用許諾の契約として署名してもらいますか。

    当初は「認定を与え、遵守事項を課す関係で、ライセンス契約ではない」という整理を確かめましたが、依頼者の回答は、使用許諾の契約への署名を必須にする、というものでした。そこで、「認定規程兼使用許諾契約」として署名させる構成にし、認定だけでは雇用・代理・共同事業・フランチャイズの関係は生じないことも明記しました。

  2. 違反したときの違約金は、どの書類に置きますか。

    受講者向けの利用規約の違約金は、認定を受けていない人が指導することを対象にしており、認定を受けた人が規程に違反する場合を含んでいませんでした。見積りの段階で、利用規約に追加する案と、認定の規程に独立の条を置く案を示し、後者を勧めました。

  3. 違反した人が契約の当事者でない場合は、どう対応しますか。

    契約は相手方にしか及ばないので、当事者でない人には、商標法・不正競争防止法・著作権法・一般の不法行為など法令上の根拠で対応することになる、と整理しました(商標ライセンス契約書)。

看板を貸す側が、認定を受けた人とどういう契約関係に立つのかを、最初に決めておく問いです。

認定の単位と、認定しない裁量

登録商標の技術の名称を使わせる施術の技術の認定店の規約では、認定の単位を施術者の個人としました。法人が申し込んでも法人格は認定されず、認定店は認定を受けた個人が運営する店舗であって、店舗そのものが認定されるわけではない、という作りです。

施術の技術の認定店の規約:認定の区分の改訂

会員の区分

当初の案講習は修了したが認定にまだ至っていない「準会員」と、「個人会員」の2つの区分。準会員の制限を列挙する。
改訂後準会員の区分をなくし、個人会員を「認定施術者」と改称した。

中間の区分をなくすと、認定を受けたかどうかの一点で扱いが決まります。

認定の前

当初の案準会員の制限として列挙。
改訂後「認定前の施術及び商標使用の禁止」の条に作り替え、講習を受けても認定の通知を受け取るまでは、施術も名称の使用もできず、教材を第三者と共有することも禁じた。

看板を掲げてよい時点を、認定の通知の受領に一本化しています。

認定の要件は、講習の修了、立会いのもとでの実技、試験の合格とし、初回の受験は無料、再受験は有料としています。同じ規約では、要件を満たしても制度の趣旨に合わなければ認定しない裁量を本部に残し、合否に異議を述べられないとしました。認定の有効期間は定めず、本部は随時見直し、一時停止・取消しができ、緊急のときは事前の通知なしに措置できるとしています。本部の側に広い裁量を置く書き方ですが、認定を受けた側から見ると、いつ看板を外されるか分からない書き方でもあります。看板を外す措置の前に是正の機会を与えるか、緊急のときだけ例外にするかといった手続を置くかどうかは、制度の規模と、看板を掲げる側の投資の大きさに応じて決めます。

技術教室の分室の契約では、分室の認定は永久の権利ではなく、毎年、更新するかどうかを判断するとし、判断の要素として、技術の水準、国家検定の資格、人格、利益の相反などを挙げています。契約の期間は1年の自動更新で、双方とも30日前の通知で途中で終わらせることができます。更新の判断の要素を書いておくと、更新しなかったときの説明の根拠になります。

認定の数を地域で調整する方法も、認定の単位と関わります。認定店の規約では、独占の地域を与えるのではなく、本部の所在地から半径2km以内は原則として認定しない、既存の認定店から一定の距離以内の新しい拠点も認定しない、という「認定しない」方式をとり、距離は地図のサービスで直線距離を測るとしました。本部が地域の独占を約束しないので、独占を侵したときの責任の問題は生じず、それでいて既存の認定店の近くに新しい認定店ができることは防げます。地域の調整の書き方の比較は独占販売契約書にまとめています。

費用の決め方:月会費・本部への納入金・加盟金

看板を貸す制度の費用は、制度によって作りが大きく違います。

看板を貸す制度の費用の作り
制度費用定めの特徴
施術の技術の認定店初期の認定料は原則として無償。月会費(定額)を、会員の資格の維持と技術の使用許諾の対価とする返金なし・日割りなし。月会費の変更は1か月前に通知。契約は1年単位か月単位を選び、自動更新
技術教室の分室分室の費用は、生徒の料金のうちの本部への納入金という定額。翌月末払い本部の料金体系と違う独自の料金や値引きを禁止。更新料・教材の使用料・名称の使用料は将来新設でき、これまで取っていなかったことを理由に拒めない
美容商材の認定コンサル加盟金(分割払いも可)と、認定コンサルの売上に連動するロイヤリティ加盟金は返さない。改訂で、初めてお客様と契約した日から1年間、本部の上位の講座を受講する義務を加えた

月会費を「技術の使用許諾の対価」と位置づけると、退会すれば技術を使えなくなる、という関係がはっきりします。返金・日割りをしない定めは、事業者どうしの契約として置かれているものです。分室の費用を生徒の料金のうちの定額にする方式は、分室の売上が増えれば本部の受取りも増える、売上連動に近い作りです。将来新しい費目を設けられるとする定めは、本部の側の柔軟さを確保する一方、分室の側の予測を難しくするので、新設するときの通知の時期や、同意しない分室が抜けられる手続を一緒に考えておく必要があります。

認定コンサルの制度のロイヤリティのように、本部の受取りが認定を受けた側の売上に連動する場合は、売上の報告の頻度・期限と、ロイヤリティの締め日・支払日を規約に書いておくことが前提になります(手数料①)。料率が顧客の数で上がる逆段階の作りにするなら、上がった率の適用の範囲も決めます。同じ制度では、加盟金は返さず、分割払いの途中では中途解約できないとしています。分割払いの加盟金は、途中でやめたときに残りを払うのかどうかを決めておく必要があり、この定めはその一つの答えです。

同じ本部の美容商材の代理店加盟の契約では、加盟金を分割払いでも受け取れるとし、商標は契約の期間中、業務の目的に限って無償で使えるとしています。看板を貸す制度に商品の販売を組み合わせると、加盟金・商品の代金・手数料・商標の使用が一つの契約に入るので、それぞれが何の対価で、いつ、誰から誰に払うのかを書き分けておく必要があります。技術教室の分室の契約では、終了後に本部独自の教育の体系や教材と同じか実質的に似たものを使ったときの効果を、違約金ではなく損害賠償と差止めとしています。セラピスト養成スクールの受講契約では、教育の事業への無断の利用などに、定額と損害額の高い方の違約金に加えて、損害賠償と差止めを定めています。

看板を貸さないことを明記する書き方にも意味があります。セラピスト養成スクールの受講契約では、受講生に認定・代理店・フランチャイズなどの権限を与えず、将来の制度は別に定め、受講生には当然に参加する権利も優先権もない、としました。将来、認定店の制度を作るときに、過去の受講生から「自分にも看板を掲げる権利がある」と言われないよう、制度を作る自由を本部の側に残しておく定めです。

活動の範囲と、派生の技術・独自の教材の禁止

看板を貸す制度で最も気をつけたいのは、看板を借りた側が、本部の技術を土台に独自の講座や認定の制度を始めることです。事務所の資料では、許す範囲と禁じる範囲を、次のように書き分けています。

活動の範囲の書き分け
制度許す範囲事前の承諾・禁止
技術教室の分室本部が定めた基本の講義と、本部が許した範囲の応用のレッスン国家検定の指導・独自の講師の養成・独自の認定の制度は事前の承諾制。独自のカリキュラム・教材は禁止。本部の施設を無断で使うことも禁止で、使っても継続的な使用の権利は生じない
施術の技術の認定店認定を受けた技術の提供、商標の名称・公式のロゴ・認定店の表記の使用技術の情報の第三者への提供、改変・簡略化・応用・他の施術との組合せによる派生の技術・派生のメニュー、類似の名称の使用を、認定の前・退会の後・失効の後を問わず禁止
セラピスト養成スクールの受講生自分のサロンでの施術は自由教材・カリキュラム・ノウハウを使った第三者向けのスクール・講座・認定の制度・教材の販売は事前の書面の承諾。代理店・フランチャイズ・ライセンスなどの権限は与えない。違反したときの違約金は定額と損害額の高い方

認定店の規約では、会員どうしの練習会も、事前の承諾制とし、非営利・会員限定・撮影禁止としました。練習会という名目で、会員でない人に技術が伝わることを防ぐ定めです。分室の契約では、生徒を「本部生徒」と「分室生徒」に分けて定義し、本部生徒の囲い込み・退会への誘導・本部と関係のない活動への勧誘を禁じ、教室の外での現場の活動で主催者に直接営業することも禁じています。看板を貸すと、本部のお客様と分室のお客様が近くなるので、どちらのお客様かを定義で決めておくと、引き抜きの争いを防げます。

派生の技術の禁止は、退会の後・失効の後も続くとしているので、期間の定めがありません。一般的な技術まで永久に禁じると、相手方の営業の自由を不当に縛るとして争われるおそれがあります。分室の契約では、終了後も一般的な技術そのものは制限せず、本部独自の教育の体系・講義の構成・教材の構成と同じか実質的に似たものを使うことを禁じる、と範囲を絞りました。何が本部独自のものかを特定できるように、教育の体系や教材を本部の側で整理しておくことが、この書き方の前提になります。

看板を借りた店の広告も、活動の範囲の一部として管理します。認定店の規約では、許諾の中身にビフォーアフターを使った広告を含めつつ、虚偽・誇大・医療に類似した表現を禁じ、「治る」「治療」「医学的に証明された」など医療と誤認される表現、加工した写真のビフォーアフター、効果を誤認させるモニターの募集を、表示の規制として列挙しています。セラピスト養成スクールの受講契約では、そもそもこの契約は開業の支援・資格の認定・成果の保証ではないことを冒頭に書き、開業の指導や経営の相談の義務もないとしています。看板を貸すのか貸さないのか、貸すなら何をどこまで約束するのかを、制度の入口で示しておく書き方です。

看板を貸す制度の規約・契約に書く項目

  • 契約の性質:認定を与える関係か、使用許諾の契約か。雇用・代理・共同事業・フランチャイズの関係が生じないことの明記(ただし中身で評価される)。
  • 認定の単位と要件:個人か法人か店舗か。要件を満たしても認定しない裁量を残すか。
  • 許諾の中身:名称・ロゴ・認定の表記・技術・教材・施設。改変の禁止。
  • 費用:初期の費用、月会費・納入金、返金と日割りの有無、変更の通知の時期、将来の新しい費目の手続。
  • 活動の範囲:許すこと、事前の承諾が要ること、禁じること(独自の講座・独自の認定・派生の技術・類似の名称)。
  • 広告と表示:使ってよい表現と禁じる表現、店舗や法人の表示の扱い。
  • 更新・停止・取消し:更新の判断の要素、停止・取消しの手続(是正の機会・緊急時の例外)。
  • 終了:退会の手続、未払いの扱い、失効後の表示の削除の期限、再入会の条件、終了後の技術と教材の使用の範囲。

事業を引き継いだ後に結び直す分室の契約

技術教室の分室の契約は、本部の事業を引き継いだ後に、各地の分室と契約を結び直す場面で作ったものです。引き継ぐ前の運営体制のもとで、口頭の説明や、メッセージアプリでのやり取りや、慣習によって、分室の活動・講義・会場の使用が行われてきた経緯がありました。

条文の考え方:これまでの経緯は既得権にならない(要約)

1分室は、旧運営体制のもとでの活動、運営の承継の前後の経緯、口頭の説明、メッセージアプリでの連絡又は慣習を理由として、本契約に定める範囲を超えて分室の活動、講義又は本部の会場の使用をする権利を有しない。

2本部の施設を使用したことがあっても、継続的な使用の権利は生じない。

3分室の認定は毎年の更新の判断による。

事業を引き継いだ側が、引き継ぐ前の約束の範囲を確かめられないときに、新しい契約の範囲をはっきりさせるための定めです。

引継ぎの後の結び直しでは、それまで取っていなかった費用を新しく取る、それまで許していた活動を承諾制にする、といった変化が生じます。分室の側から見れば、急に条件が厳しくなったと受け取られやすいので、何が変わり、何が変わらないのかを、契約とは別の説明の資料で示しておくと、結び直しが進めやすくなります。本部の側の免責として、解除などの措置で分室に損害が出ても、本部に故意・重大な過失がなければ責任を負わないとも定めています。

退会・失効・再入会と、看板を掲げる法人の約束

認定店の規約では、退会は30日前の申請とし、未払いがあると退会の効力が生じないとしました。再入会には再審査と再試験を条件とし、過去の認定の履歴は通算しません。更新のときに条件を変える場合、同意しなければ満了で終わり、利用を続ければ同意したものとみなす、としています。失効したら7日以内に名称・ロゴ・SNSの表示を削除し、違反すれば第三者への周知・通報もあり得るとしました(終了後の表示は商標ライセンス契約書で比較しています)。

看板を掲げるのが個人で、その個人が所属する教室や会社がある場合は、法人の側にも約束をさせる必要があります。指導メソッドの規程では、認定は個人に帰属し、所属する教室の名義で指導してもよいが、教室を「認定教室」と表示することはできないとし、教室の「認定講師在籍」の表示は事前の承諾と法人の署名を条件にしました。法人は「関係法人」として、認定を受けずに約束だけを負う形で加入書に署名し、違反には個人とは別の額の違約金を定めています。法人が違反を「知りながら容認」したことは、反証できる「推定」とし(「みなす」は避けた)、同じ違反について個人と法人の双方に請求できるが二重に回収はしない、同じ公開物について媒体の数や日数で違約金を重ねて計算しない、としました。看板を借りた個人が辞めても、法人の側が看板を使い続ける、という事態を防ぐための定めです。

よくあるご質問

認定店の制度とフランチャイズは、何が違いますか?

法律上の名前で決まるわけではなく、中身で評価されます。名称の使用を許し、技術を使わせ、会費や納入金を受け取り、料金や教材を統制するのであれば、フランチャイズに近い仕組みになります。名前に関係なく、費用・活動の範囲・終了後の扱いを決めておく必要があります。

認定は、店舗と個人のどちらに与えるべきですか?

制度の目的によります。技術の水準を保ちたいなら個人を単位にし、法人が申し込んでも法人格は認定しない、という書き方があります。その場合は、個人が所属する店舗や法人の表示の扱い(「認定店」と表示できるか)も決めておきます。

認定を受けた人が、独自の講座や認定制度を始めるのを禁止できますか?

契約や規約で、事前の承諾制にしたり禁止したりできます。ただし、一般的な技術まで永久に禁じると争われるおそれがあるため、本部独自の教育の体系・教材と同じか実質的に似たものの使用を禁じる、といった絞り方を検討します。

月会費は、退会したときに返金しなくてもよいですか?

事業者どうしの契約では、返金なし・日割りなしと定める例があります。月会費を技術の使用許諾の対価と位置づけておくと、退会すれば使えなくなるという関係がはっきりします。

事業を引き継いだ後、前の運営者との口約束はどうなりますか?

引き継いだ内容によって異なりますが、新しく契約を結び直すときに、これまでの経緯は契約の範囲を超える権利にならない、と明記する例があります。何が変わり何が変わらないのかを、説明の資料で示しておくと、結び直しが進めやすくなります。

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